さえたん日記

アクチュアリーを目指す方々にお役立ちな情報を載せていきます!

インタビュー企画第4弾!【様々な分野でご活躍しているアクチュアリーってどんな人?】

ー超難関資格。高学歴。アクチュアリーとは、一体どんな人達なのか?-

さて、今回で、インタビュー企画第4弾となります!! 

 

今回の企画では、海外でのご活躍にとどまらず、様々な分野でご活躍の幅を広げておられるアクチュアリーの方にインタビューしてみました!! 

 

それでは、ご高覧ください!

 

 

1.今、ご関心を持たれているトピック

 

2.データサイエンスの今後の展望について

 アクチュアリーの業務の多くは、モデルを用いて不確実性を伴う課題を解決することにあります。モデルには、生保数理、損保数理、年金数理のようないわゆる伝統的なモデルから、データサイエンスのような現代的なモデルを含む幅広い概念です。アクチュアリーが扱うモデルの範囲は、時代の変化とともに増えています。アクチュアリー試験の歴史を振り返ってみても、2000年に損保数理が追加されて以降、モデリングやコピュラ・リスク尺度・極値理論なども追加されてきました。2017年には国際アクチュアリー会シラバスが改定され、データサイエンスについてもアクチュアリー教育に含まれることになりました。なぜこのような動きになっているのかを考えると、アクチュアリーのコア・バリューが不確実性を伴う課題を解決することにあり、そのために利用可能なツールが増えているからです。便利なツールが増えているのに使わないのは勿体ないですよね?ただ、機械学習の自動作成ツールなどが普及するにつれて、正しく解釈できないユーザーが増えているという負の側面も生じています。また、AIに対する過度な期待を持つ人もいます。モデルはあくまでも現実の世界の事象を簡略化して表現したものであり、そこには一定の限界があります。その限界を理解しつつも、データサイエンスの活用領域を広げていくという、社内のコントロールタワーとして活躍するアクチュアリーが今後求められてくると考えています。

 

3.海外のアクチュアリーと日本のアクチュアリーを比較したうえで、お感じになられていることとは?

 アクチュアリー業務を行う中で感じる違いとしては、「ジャッジの範囲」ですね。

海外の保険商品を見ると、日本人的にはどうやって保険料を計算しているんだろうと思うような商品があります。例えば、特定のアプリを使うと保険料が10%割引になるような商品もあります。日本人的な発想だと、アプリを利用することで発生率が下がるというデータがないと商品組成できないと思いがちですが、彼らは収益検証を行った上で問題ないとアクチュアリーがジャッジすれば保険料を割り引けます。また、企業年金の数理計算報告書を見ても、日本では定型のフォーマットが多いですが、海外ではアクチュアリーのコメントが多分に含まれます。海外の場合、個々のアクチュアリーが会社に依存せずに働いているという印象を受けることもあります

 

 アクチュアリーと大学という側面でいうと、海外にはアクチュアリーの勉強ができる大学が多くあります。大学でアクチュアリーを専攻した学生がアクチュアリーになるというルートが王道です。英国では、試験免除制度を導入しており、所定の授業の単位を取ると、アクチュアリー試験の科目が免除されます。北米では産学共同の研究も盛んに行われています。例えば、死亡率モデルを大学に委託して開発し、そのモデルを実務で活用するということも行われています。シンガポールの大学でもサイバーリスクの委託研究を行うなど、産学共同の動きが盛んです。大学との連携は日本では弱い部分であり、今後強化していく必要があると感じています。

 

 日本でのアクチュアリー教育は変わりつつありますが、その変化のスピードは諸外国よりもかなり遅れています。米国や英国よりも遅れているのであれば納得できるかもしれませんが、オーストラリア、シンガポール南アフリカなどよりも、かなり遅れています。結果として、同じアクチュアリー採用でも日本の新入社員と海外の新入社員ではスタート時点でかなりの差がついています。例えば、データサイエンスは、先進国ではすでに試験科目に入っています。日本でもCERA試験を行っていますが、英国では合格率が40%のところ、日本では10%程度です。理由はいくつかあるんですが、一次試験で習う内容がかけ離れているという点があります。海外に触れるアクチュアリーが増えると、もう少し課題意識を持つ人も増えるかもしれませんが、残念ながら今は少数派です。

 

4.日本アクチュアリーの国内での地位向上のために、ひいては、国際的な地位向上のために、できることとは?

  保険や年金以外の非伝統的分野でどれだけ活躍できるかですかね。伝統的分野であれば、先人のおかげで一定の地位を築けていると思いますが、非伝統的分野にいくと知名度は皆無です。SNSなども含めた継続的な広報活動と、様々な分野で活躍するアクチュアリーが増えると地位も向上すると思います。

 

 国際的な地位向上のためには、対等に議論できる英語力が必要となるので、少しハードルが上がります。国際アクチュアリー会などの国際機関での活動に貢献できれば、日本の地位も向上すると思います。

 ちなみに、海外ではもう少しアクチュアリー知名度は高く、国境を渡る際に職業を聞かれてアクチュアリーと言えば通じたり、タクシーの運転手との何気ない会話の中でもアクチュアリーが通用したりということを体験したことがあります。もちろん、場所にもよりますが。

 

5.日本のアクチュアリー界の今後の展望について(20年後、50年後など長期的スパン)

 これは難しい質問ですね。今から20年前にはスマホもなかったし、50年前だとそろばんで計算していたような時代なので。実際、当時は実務を行う上で、そろばんは不可欠だったと聞いたことがあります。でも、今はパソコンを使っていますよね。20年先、50年先にどんな技術が登場しているのかは予測できませんが、それをうまく実務と教育に取り込む形でアクチュアリーも変わっていくことになると思います。データサイエンスはその一つではないでしょうか。

 

6.日本の企業年金業界の今後の展望(20年後、50年後、100年後など長期的スパン)

 これも難しい質問です。企業年金の展望は、日本企業の展望と似た質問なので、誰にもわからないと思います。人口減少で経済は衰退するという意見もあります。技術革新があれば違いますが、ベンチャーを育む土壌も米国に比べると未成熟な状況です。経済が成長すれば、企業年金も発展すると思いますし、逆もしかりです。

 日本の企業年金は、米国や英国に比べるとうまくいっていると感じています。DB制度もそれほど減っていません。現在はDC制度の普及に軸足を置いているように感じる場面もありますが、DBにはDBの良さがあると思います。ただ、会計上に現れる数字だけ見ると、その価値を負債や費用だけで捉えてしまいがちです。企業年金はそもそも人事制度の一環として実施しているものであり、優秀な従業員を引き付ける役(Recruit)、優秀な社員を引き留める役割(Retention)、一定の年齢になると新陳代謝を促す役割(Retirement)の3つのRの機能があると言われています。でも、それは会計上の数値には現れません。そんな目に見えない価値を見える化できるとしたら、事業主も企業年金の価値を再認識するかもしれません。そして、そんな手法をアクチュアリーが確立できたらよいなと思っています。

 

7.複数の分野(生保・損保・年金)で活躍することについて

 複数の分野で活躍すべきかどうかと問われると、お勧めはしないと回答すると思います。二次試験で勉強した分野で、馴染みのある人脈の中で業務を行っていくのがキャリア形成の上で一番効率的だと思います。分野を変えると、また一から勉強する必要があります。新たな人脈を築き、信頼を獲得するのにも時間がかかります。結果として分野をまたぐことはあるかもしれませんが、それを目的とすべきかと問われるとNOで、まずは自分の専門分野で活躍する道を模索すべきと答えると思います。

 

 一方で、複数の分野で活躍することのメリットとしては、メタ認知できるスキルが高まる、ということですね。アクチュアリーの役割とは、課題を解決することだと考えています。年金であれば、企業年金が持つ課題、保険であれば個人が持つ課題、リスク管理やデータサイエンスであれば現業部門や経営陣が持つ課題を数理的なスキルで解決することという意味です。もちろん、そのためにはルール(二次試験で勉強する規制など)を知る必要があります。ただ、このルールも暗記するのではなく、当然こんなルールがあるはず(自分だったらこういうルールを作る)という感覚を持つことができるようになります。

 

 

8.日本のアクチュアリーが、海外で活躍することについて 

 損保は、リスクを地理的に分散する必要があるので、海外のビジネスも多く、留学する人も見かけます。生保も株式会社であれば、海外進出を積極的に行っており、海外人材を育成している印象を受けています。ただ、海外志向が強くなっているのかと言われると微妙です。少なくとも、年金はそうではなく、生保も会社によるので何とも言えません。海外に行くことの効用としては、日本は規制が強い国なので、日本にいると規制の範囲内で物事を考えるという思考回路になりがちです。海外ではもっと自由に保険商品を作ったり、企業年金の位置づけが日本とは違うこともあるので、発想が豊かになると思います。そして、イノベーションを生むにはthink out of the box的な発想が必要だと思います。

 

 海外には目を向けてほしいと強く思います。理由は、思考の軸が増えるからです。日本にいると思考回路が日本人的になるし、会社にいると知らず知らずの間にその会社に染まっていきます。アクチュアリーにとって客観的に物事を見るというのは重要なスキルです。英国アクチュアリー会の有名な文献の一つに「making actuaries less human」があります。行動経済学アクチュアリー業務への応用を論じた文献ですが、客観性の大事さを伝えるものでもあります。思考の軸を増やすことで、物事の本質が見えるようになるかもしれません。

 

9.アクチュアリー教育の裾野について、どうお考えですか?

 アクチュアリー教育には、初期教育と継続教育の両面があります。初期教育は正会員になるまで、継続教育は正会員になってからの教育です。日本では、初期教育の大部分をアクチュアリー会が担っています。現在、早稲田大学やシグマ、セミナーインフォなどいくつかアクチュアリー教育を受けられる講座もありますが、欧米に比べると圧倒的に少ないのが現状です。教育者の数が絶対的に足りていないというのが日本の課題でもあります。裾野を広げるには、教育の場とそこで教えるスキルのある人を増やす必要があると思っています。

 

 継続教育の方も、正会員になってもなお勉強している人とそうでない人に分かれます。多分、後者の方が多いと思います。でも、これは当たり前で、会社での役職が上がり、家族を持って子供もできると、人生の中の優先順位は変わってきます。一方、前者の人がいるのも事実です。この前者の人を組織として受け止める器があまりないという課題もあります。アクチュアリー会の中に、幾つか研究好きなメンバーが集まって、研究したり、論文を書いたりする委員会もあります。そういった委員会活動が広がれば、継続教育の裾野も広がるかもしれません。

 

 

10.今後、アクチュアリーとして活躍することを目指す学生へひとこと

アクチュアリー知名度向上に向けて一緒に頑張りましょう!

 

 

【謝意】ご多用にも関わらず、本企画にご協力賜りましたこと、心より感謝申し上げます。

インタビュー企画第3弾!【損保アクチュアリーってどんな人?】

ー超難関資格、高学歴。アクチュアリーとは、一体どんな人達なのか-

インタビュー企画第3弾! 今回は、損保アクチュアリーの方々にインタビューしました!! どうぞご高覧ください!

 

 

【損保アクチュアリーの魅力】

  • 産業や家計を取り巻くさまざまなリスクについて深く知り、考えることができます。人々の暮らしは決して同じではなく、住宅はその構造もたたずむ土地も異なり、自然の恵みにも脅威にもさらされ、車は街やハイウェイを駆け、旅をするならばそこではいろんなことが待っています。日々の生産活動を追いかけるなら、その過程において発生する事象とその結果は常に安定しているとは限りません。製造業だけでなく、運輸流通業、サービス業やIT産業、農林水産業、金融業など幅広い経済活動と、さらにそれらのサプライチェーンは高度に複雑に関連しあっています。さらに、人間の活動は、海外、宇宙、サイバー空間へと拡大していきます。損害保険はまさしく人間の社会活動に並走する形で発展し、そこに統計確率論やまだまだ発達途上のデータサイエンスの技術をもって挑む醍醐味を味わうことができます。

 

  • 自動車保険などの損害保険は1年契約の商品が多いため、他社への乗り換えが起きやすく、他社間との競争に常に晒されています。細かい箇所での損害率の動向を見極めて、どの層を他社より安くするのかor値上げするのかのバランスを考えながら、料率改定をとおして優良な契約者集団(損害率が良好だったり、安い保険料で収支相当してくれる集団のこと)を作り上げていくのが損保アクチュアリーの魅力の一つだと思います。

 

  • プログラミングによるデータ分析・統計学を実務で使う機会が多いことです。生のデータを自分の好きなように分析して、保険事故や社会的な傾向・背景等を目の当たりにする瞬間は(良い意味でも悪い意味でも)ゾクっとします。

 

【今、損保業界において、ご関心を持たれているトピック】

  • 気候変動やパンデミック、デジタルなインフラへの依存の高まりなど、社会経済の環境が大きく変化しつつあり、それに伴うリスクも変容を遂げています。新しいリスクの探求もさることながら、それに対応できるよう損害保険のしくみや保険会社の在り方も変化を求められています。不確実性が増大し、従来の保険では抱えきれないシステミックリスクにどのようにして対処していくことができるか、保険と保険会社の将来の方向性について、もっともっと考えていかなければなりません。

 

 テレマティクス保険に関心があります。

 そもそも、自動車保険でリスク細分に用いることができる項目は、保険業法施行規則第十二条で制限されていて、その中に「運転歴」があります。テレマティクス保険の考えとしては、通信車載器などのデバイスを、お客さんの車に載せてもらって走行データを収集し、損害率が良好になるような「運転歴」の特徴を見つけ出して、保険料の割引or割増をして優良な契約者集団を作りたい、というものですが、記名被保険者(主に車を運転する人)の走行データを、正確に測定するのは課題が山ほどあります。

 例えば、たまたま運転席に載せた友人が過激な急発進を、運転したときの「運転歴」はどのように扱えばよいのでしょうか? 上記のような望ましくないデータが得られてしまったとき、そのまま保険料の算出に使うのではなく、どこかしらで、取り除くようなロジックを、アクチュアリーも考える必要があります。業界スタンダードとなる手法がまだ確立されていないので、試行錯誤をする余地が大きくあります。

 

  • 火災保険

 ハザードマップを用いたリスク細分化に興味があります。都道府県単位ではなくて川沿いや海沿いなどの地形情報を用いて、保険料の割引or割増をしたいという考えです。 台風などの自然災害では大数の法則が効かないため、リスク細分化をした際の支払実績データ不足による信頼性確保が大きな課題となります。

 こちらも、業界スタンダードとなる手法がまだ確立されていないので、試行錯誤をする余地が大きくあります。真新しいからこそ、「この方法で金融庁の認可が取れるのか…?」という不安はつきものですが…。

 

  • P to P(米Lemonade等)
  • 企業分野の賠償責任保険分野の広がり

 

【どんな人が損保アクチュアリーに向いているか?】

  • 様々な事象の変化を敏感に捉え、柔軟に物事を考え、いろんな手法を試してみることを厭わない人。
  • データを扱う仕事ですが、データに惑わされず、常識・良識を持って判断できる人。

データの処理は根気と忍耐の必要な仕事でもあり、ときには時間との闘いとなり、見極めと思い切りが必要となることもあります。ただ、損害保険会社の経営の根幹に関わる仕事なので、責任感と同時に、会社だけでなく社会への貢献を考えることができる人がいいですね。

 

  • プログラマーの三大美徳である「怠惰」「短気」「傲慢」を兼ね備えた人。

リスク細分化によって、扱うデータ数が膨大に増えてきています。既存のソフトウェアで解決することもありますが、自らVBASQLなどをコーディングする場面も少なくありません。ビッグデータに対処するアクチュアリーとしての心構えは、プログラマーやエンジニアに似ていると思います。確かにコミュ二ケーション能力も大事かと思いますが、担当者レベルであれば 「怠惰」「短気」「傲慢」の方が仕事に役立ちます。

 

  • 損保アクに限らないが、ノンアクに分かりやすく伝える能力がある人
  • データ分析から結果の資料作成、そして説明までを一貫して行える人

 

  • Loss等の傾向が変化した時に「今、何が起きているのか」について自ら仮説を立てデータで立証できる人。なおかつその結果を他部署と共有し次のビジネスアクションにつなげることができる人。

保険事故の発生から保険金の額が確定するまでに長時間を要するため、できるだけ早く分析・把握し適切な手を打たないと気づいた時には手遅れになります。

 

  • アク以外の人と仲良くなれる人

特に支払等のオペレーションの変更がLoss Triangleの傾向、ひいてはLDFの見積もりに影響を与えることを考えると、アクが所属していない部署とも良い関係を築き、状況を常にキャッチアップすることは重要です。

 

 

【損保アクチュアリーには、実際どんな人が多いのか?】

  • ざっくばらんに正直で実直な人が私の周りには多いように思います。好奇心が強く、技術にこだわりが強い人も多いです。私にとっては、仕事をしたり、話をしたりするのに、信頼できて一緒に過ごすことが楽しいと思える人たちです。

 

  • 多種多様な方がいらっしゃいます。

 

  • いわゆる一人親方というのが多いです。尊敬できる上司の方々に共通する点として、「自分でロジックを組み上げることができる」というものがあります。就活生目線だと、グループワークで扱うような内容を、自分一人で全て考えきるようなものです。細かな専門性の要求と人手不足が相まって、チームプレーより個人プレーの業務が多いです。

 

 

【損保アクチュアリーを目指す人にひとこと】

  • アクチュアリーは数字を扱う仕事ですが、損害保険の数字の向こうには人々の生活や仕事があります。リスクを測定し、引き受け、事故があれば保険金を支払う、さらに最近はリスクを事前にコントロールし、いかにして削減していくかということの重要さが増しています。公共的な性格を持つ損害保険業を通じて自分がどのようなことを成し遂げていくのか、目線を高く持って仕事をしていただきたいと思います。また、カッコいいデータサイエンスの仕事だけでなく、損害保険事業を支えている泥臭いさまざまな業務に携わる機会があったなら、とても良いチャンスだと思って全力で励んでください。どのような経験もアクチュアリーの仕事に後から役に立つことでしょう。

 

  •  他分野よりデータ分析やプログラミングスキルが活かせる機会が多い(と思う)ので、こういったことに興味がある人は是非。ない人も是非(笑)

 

  • リスク細分化の流れによって損保アクチュアリーの仕事は、どんどん増えて来ています!!生保より規模が小さい分、採用人数が少ない傾向がありますが、マイナーな会社も是非応募してみてください!!

 

【謝意】この度、ご多用にも関わらず、ご協力賜りました皆様に、心より感謝申し上げます。

インタビュー企画第2弾!【生保アクチュアリーってどんな人?】

ー超難関資格、高学歴。アクチュアリーとは、一体どんな人たちなのかー

インタビュー企画第2弾!! 

今回は、生保アクチュアリーの方々にご協力賜り、その魅力についてお伺いしました!! それではどうぞご高覧ください! 

 

 

【生保アクチュアリーの魅力】

  • スキルを生かした仕事ができる

アクチュアリー全体に共通していることかと思います。

 

  • 人数が多い

 

  • 専門家として興味深い(理論的な)研究に触れる機会が多い

どちらかというと損保アクチュアリーのイメージが強いかもしれませんが、生保でも様々な研究が行われていますし、またデータサイエンスの活用や、ファイナンスといった周辺領域の重要性はますます高まっており、学術的な、理論的な面白さを求める人にとっても魅力ある職業だと思います。

 

  • 保険リスクだけではなく、金融系のリスクを扱うモチベーションが高い

 

  • 様々な視点を持つ人と一緒に仕事ができる

同じアクチュアリーでも商品開発・予算/決算・負債評価・リスク管理・運用など、様々な立場の人間と同時に関わり、アクチュアリー以外では営業部門や経営、時には社外のステークホルダーとも関わりがあって、それぞれの専門的知見を吸収しながら、興味深いディスカッションができる機会が多いと思います。

 

 

【今、ご関心を持たれているトピック】

  • 経済価値ベースの資本規制/今後導入予定の健全性指標

経済価値ベースのソルベンシーマージン比率の規制動向(ICSや経済価値ベースの国内資本規制を巡る議論)は、今後5年くらいのあいだ、生保業界において最重要トピックの一つであり続けると思います。

 

  • Insurtech

 

 

  • 健康支援系保険の動向

 

  • ERMの高度化

 

  • RPA

 

  • コロナ禍におけるセールス戦略

 

  • データサイエンスの活用

規制の話に比べると各社の導入や活用の足並みはバラバラですが、今後保険契約の価値を高めていくために重要な要素になっていくでしょう。

 

【生保アクチュアリーに向いている人】

  • 生保ビジネスに興味がある人

 

  • 損保や年金に行きたいという明確な意思がない人(現状はいろんな意味で生保に行く方が、機会という意味で得する可能性が高い気がする)

 

  • 金融系のリスク(市場リスクや信用リスク等)に興味がある人

 

  • 好奇心が強く、考え方の違う人・異なるバックグラウンドを持つ人とのコミュニケーションが苦にならない人。また、理論と現実の折り合いをうまくつけられる人

 

 

【生保アクチュアリーには、実際どんな人が多いか?】

  • 多種多様なので、一概には言えません。

 

  • その他(損保、年金)と特に違いはありません。

 

  • 向学心と専門家以外への説明能力を併せ持っていて、バランスの取れた人が多いです。また、営業・金融・データサイエンスなど、従来型のアクチュアリー以外の分野に興味をもつ人もかなり多い印象です。(勿論、損保や年金でも新しい領域へ挑戦される方は非常に多いのですが、生命保険数理そのものはリスクセオリーの中ではどちらかというと枯れた技術で、向学心が生命保険数理の深堀りよりも他の分野に向かいやすいのかなと思っています。)

 

【生保アクチュアリーを目指す方へひとこと】

  • 生保アクチュアリーが関わる領域は拡大し、求められる役割は多様化しています。色々な方に生保アクチュアリーになっていただき、ともに学び、仕事をすることを楽しみにしています。

 

  • 生保のアクチュアリー業務は、一次試験の生保数理だけではなく、損保数理で扱っている内容も普通に用います!恐らく思っている以上に活躍できる領域が広いので、特に特定の分野(生保、損保、年金という意味で)に明確な興味がない人には特におすすめです!

 

  •  生命保険は長期のビジネスです。現実では短期的な成果も求められる一方、長期的・安定的に契約を履行できるようにしなければなりません。この10年でも大地震、豪雨、コロナと様々なイベントがありましたが、困ったときにこそ確実に保険金を支払えることに生命保険の存在意義があります。試験合格も大事ですが、目先のテクニックにすぎません。生命保険が未来永劫続くよう、みらいのカタチを描けてその数理的素養で実行できるようになってください。

 

 

このような貴重なご見識も賜りましたのでご紹介します!

 

個人的には、アクチュアリーの専門分野として、生保/損保/年金という区別は必ずしも本質的ではなく、今後は上記にERM・データサイエンス・金融などの領域を加えて、いくつかの分野にまたがった形で専門分野を持つ人が増えていくのではないかと考えています。

一方で、学生が就職先を選ぶ時には専門分野というよりもファーストキャリアの業種として生保/損保/年金(信託銀行)の区別が重要ですし、その文脈においては、収益構造と重要なリスクの種類から求められるスキルに微妙に相違があると理解しています。

例えば損保は1年以下の契約における危険発生率リスク(特にテールリスク)が、生保は長期の契約により発生するキャッシュフローに関わるリスクがそれぞれ重要で、年金は対象期間やリスク特性でみると生保と似ていますが、企業年金の場合はそもそも主役になる経済主体が異なり、収益構造も保険と異なるでしょうし、また発生するキャッシュインフローの柔軟性、資本規制の影響の大きさ、キャッシュアウトフローへの影響が大きい基礎率などに多少の相違があるかと思います)。

その結果として、専門外の人とのコミュニケーション能力と数理的素養のどちらが若いときから重視される能力かを見ると、損保は数理寄り、年金はコミュニケーション寄り、生保はその中間というイメージを持っています。もっとも、会社や部署によっても異なりますし、どの分野でもどちらも重要であることは言うまでもありません。

 

【謝意】ご多用にも関わらず、今回の取材にご協力賜りました皆様に、心より感謝申し上げます。

インタビュー企画第1弾!【年金アクチュアリーってどんな人?】

ー超難関資格、高学歴。アクチュアリーとは、一体どんな人たちなのかー

今回は、国内で500人しかいないといわれる、アクチュアリー界でも希少な存在、年金アクチュアリーの方々にご協力賜り、インタビュー企画を実施しました!!!!

それではご高覧ください! 

 

 

【年金アクチュアリーの魅力】

  •  お客様との接点がある。

直接会ったり、電話でやりとりすることもあり、間接的にお客様の要望を伺う機会は多いです。

 

  • 資格に裏打ちされた専門性を活かして、各顧客のニーズに応えられること。

年金アクチュアリーの活躍場面として、もちろん広く社会一般のニーズという側面もありますが、どちらかというと具体的な各顧客のニーズに応えるという側面が強いように思います。顧客(企業の人事・財務など)と関係が築ける仕事です。企業年金は人事ごとと直結するので、お客様と会う時は、部長や役員クラスが出てくることもあります。

 

  • 自分の仕事がお客様の退職金に直結するので、やりがいを感じる/あらゆる企業の従業員の老後の生活設計に携われる

どんな制度にするべきか相談に乗ることも多いので、自分の意見が何百人何千人といる お客様の従業員の退職金制度や年金制度に直結することです。(ちなみに、年金アクチュアリーが出した提案が全くそのままお客様の退職金規程になることもあります。)

 

  • 年金数理人という公的な専門家として企業にアドバイスが出来る

 

  • 数学に強いことが活かせる仕事であること。

仕事上そこまで高度な数学を使うわけではありませんが、数学が得意な人というのは世の中一般から見れば貴重な存在であり、学生時代に数学が得意だった人は重宝されると思います。(これは年金に限らず生損保のアクチュアリーも同様だと思います。)なお、計算過程で難しい数学を使っていたとしても、顧客に説明する際にはぐっと我慢して、より簡単な内容での説明にとどめます。

 

 

 

  • 公的年金について、かなり詳しくなること。(世間の多くの人が誤解していることに気づく。)

 

  • 人事や労務の知識が身につく/人事制度や人事データに関わる仕事であること

さまざまな会社の就業規則や退職金規程を読みます。いろんな会社の従業員の退職金・企業年金を支え、人事制度変更に関する意思決定に関われる仕事です。また単純にいろんな会社の退職金制度を知れることは面白いですし、会社が違えば制度は異なりますので飽きが来ません。扱っているデータも給与や退職などの人事関係データであり、給与カーブ、退職率、退職金水準など、対象自体も興味深いものです。

 


企業年金業界において、ご関心を持たれているトピック】

  • 定年延長

 世の中が、65歳までとか70歳までになれば、それに合わせて企業年金も制度変更する必要があります。

 

  • DB仮想掛金(DC掛金の上限額の緩和)

 法令改正で今一番ホットな話題です。社会保障審議会企業年金個人年金部会において、カナダをはじめとする諸外国の私的年金を参考に、DCの拠出限度額に関する検討がされていて、企業年金関係者から高い関心が寄せられています。

 

 まだまだ普及していないが、どこまで普及するのか。

 

【どんな人が年金アクチュアリーに向いているか?】

  • お客様の視点に立てる人

 

  • お客様のニーズを的確に掴み、それに沿って自分なりの提案を作り、分かりやすく説明できる人

 

  • どう計算していくのが妥当か、自分の頭で考えられて、それを分かりやすく感覚的に説明できる人(数理的素養がある人)

 

  • 細かさと大雑把さのバランスが良い人(本質を見極めて不必要な部分はこだわり過ぎない人)

 

  • 毎年法律が変わるので、正会員になってからでも飽きずに勉強していける人

 

  • 顧客に必要とされることを自分の喜びややりがいと感じる人

社内で完結する計算ではなく、計算結果は各顧客に報告するものです。正会員になる前から、顧客と電話で話すこともありますし、メール等の授受もあります。(コロナ禍前は往訪することもありました。最近はZOOMになってしまって地方出張の機会がなく残念です。)
また、計算している内容は専門的で、顧客からはプロとして全幅の信頼をおかれるため、間違いが許されないという責任感とともにやりがいが感じられると思います。そういう仕事がしたい人には向いています。

  • 数字感覚に強い人

日本アクチュアリー会HPの「数理業務のプロフェッショナル」という表現からしばしば誤解がありますが、測度論などの高度な数学が得意な人よりは、具体的な数字の感覚を掴むのが上手い人が向いていると思います。扱っている数学はそこまで高度なものではなく、高校数学+αまでで足ります。給付設計の変更内容や、金利・死亡率・退職率・昇給カーブなどの変化が、計算結果にどう影響するか、定量的にイメージできるセンスが問われる仕事です。

日々扱うデータには企業年金や退職金に関するものが多く、そういった内容に興味があったほうが、日々の仕事を純粋に楽しめると思います。

 

【年金アクチュアリーには、実際どんな人が多いのか?】

  • これは色々過ぎて、こんな人が多いとは言えません。本当にバラエティに富んでいます。

 

  • 数学が得意な人が多く、論理を重視する人が多いと思います。とはいえ、得意分野は人それぞれです。法令に詳しい人、会計に強い人、プログラミングが得意な人など、様々です。また、顧客は数理計算の専門家ではないので、分かりやすい説明力が求められます。そもそも職場にはアクチュアリー有資格者でない方もたくさんいますし、そういった方たちとチームを組んで仕事をしますので、日頃からコミュニケーション能力は必須だと思います。

 

【年金アクチュアリーを目指す人にひとこと】

  • お客様のご要望に応え、喜んでもらうということは、純粋に嬉しいことです。また、法令改正等どんどん業界の状況も変わっていっているので、(大変ではありますが)飽きることなく、毎年何かしら違った仕事ができます2次試験は大変ですが、頑張ってください。

 

  • 年金アクチュアリーになれば自動的に年金数理人という資格が付いてきて、お得です!

 

  • 高度な数学は使わないものの、債務やリスクをどう評価すればよいか等、意外と決まっていないことも多く、数理的素養を活かせます。

 

  • お客さんのところに行く機会があり、様々な業種のことを知ることが出来ます。

 

  • お客さんのところには「年金の専門家」のような立場で行きますので、営業目標?みたいなのは全くありませんが、それだけに、多くの人の老後の生活に影響を与えるような判断をすることもあります。公的年金が目減りし自助努力による老後の所得保障が叫ばれる中、社会的にも意義深い仕事が出来ると思います。

 

  • 年金アクチュアリーは、ニッチな世界ですがとても面白い分野だと思います。アクチュアリーというと生損保しか知らなかったという方も、これを機に年金の世界の門戸を叩いてみては?

 

 

企業年金業界の今後の展望について、このような見識高い貴重なご意見を賜りましたので、ご紹介致します!!

 

企業年金は企業の人事制度の一つです。少子高齢化を背景に、企業にとっては労働力確保、従業員にとっては高齢期の収入確保の観点から、国の政策として定年延長が進んでいます。このような企業の人事政策の変更時には年金アクチュアリーの活躍の場があります。複数の給付設計で財務インパクトを比較して提案することなども、年金アクチュアリーに求められる役割です。
また、大企業を中心に、IFRSの導入が進んでいます。IAS19(退職給付を含む企業から従業員への給付に関する国際会計基準のこと)に関する相談も増え、アクチュアリーに求められる役割はますます大きくなっています。
このように、人々の就労期間が延び、企業がグローバル化するなかで、年金アクチュアリーにはこれまでよりも様々なことが求められるようになり、活躍の幅が広がっています。

 

 

【謝意】ご多用にも関わらず、取材にご協力賜った皆様に、心より感謝申し上げます。

 

アクチュアリー一次試験の勉強法【生保数理】

f:id:indigobluetan0210:20210207172823j:plain

 

 
【特徴】

  • 指定教科書が読みやすい。導入書は教科書で十分ですね。
  • 2019、2020と易化したので、今年度(2021)は、難化がほぼ確定的(頑張って…!)。
  • クローズドベースな分野なので、新傾向の問題は出題されにくい。(だからこそ教科書が長年改訂されていないのかも)
  • 生保独特の記号が登場し、暗記量が多い(ここを暗記しないとまず問題が解けないので頑張りましょう…!)
  • 保険数理3科目の中では、一番難易度のばらつきが小さいが、優秀でもドツボにはまる方もいるので注意。
  • 記号の展開や、式の変形、パズル的問題が多く、四則演算、級数計算が大半で、微分積分は少なめなので、文系の方でも比較的取り組みやすい。
  • 生保数理の分野が、そのまま年金数理でも出題される(20点分)上に、年金数理は生保数理の予備知識がないと理解しにくいので、年金数理との相性が良い。

 

【合格率の推移】

年度 2019 2018 H29 H28 H27 H26 H25 H24 H23
合格率% 32.0 12.8 26.2 10.6 14.0 10.2 26.5 49.2 12.6
年度 H22 H21 H20 H19 H18 H17 H16 H15 H14
合格率% 35.3 21.5 21.9 38.7 11.0 10.2 7.0 22.5 9.7

 

【得点戦略】

大問1 24点(各4問×6)

典型問題が出題される。大問2のことを考えると、全問正解が望ましい

 

大問2 56点(各7点×8)

計算量も多く、難度も高いのに、1問落とすと7点も飛ぶ地雷原。難化年は、ここの地雷率が高い為問題の解くべき順序をしっかり見極めないと(選球眼)、ドツボにはまりやすいので注意。半分稼げればOK

 

大問3 20点(各10点×2)

ここで食らいつくと案外点数が取れる。誘導に上手く乗る訓練が必要。大体、連生か就業不能がよく出題される。10点稼げればOK 教科書の章末問題の未出部分から出題されることがある。(教科書をやっていれば得点のチャンスが狙える)

 

【難化する年の特徴】

  • 計算量が多い(営業保険料・チルメル式責準は特に注意)
  • 問題条件を複雑にする。

 

チルメル式責任準備金(計算量が多いので注意)

連生(設定条件が複雑になりやすい。生保数理の最難分野)

就業不能(暗記すべき公式が多く、就業者・就業不能者など被保険者の分類の判断が難しいため、混乱しやすい)

 

は要対策。問題を難しくするとしたら、大体ここの3つに絡めて狙われる。特に、連生は難しいので、苦手意識を持つ人が多い分野でもある。(私も本当に苦労しました…)

 

【私が行った対策】

『生保ストラテジー

指定教科書

過去問対策(H8~2019)

生保公式集(アクチュアリー受験研究会)

 

 2020年で合格しました。対策は、指定教科書、過去問対策と生保公式集を主軸としていました生保WBは量が多いのでやっていません。生保ストラテジーは、便利な公式を拾い読みするために適宜使っていました。

 

指定教科書

生保数理の教科書は、章ごとのつながりで読むことが重要になってくるので、教科書の読み方が独特です。教科書は、どの章も、微に入り細を穿つ説明で大変分かりやすいのでおススメです。

 

章ごとのつながりは以下の通りです。

 

第1章 

第2章 

第4章⇒第5章⇒第7章⇒第8章

第12章(連生だけでけっこう長い)

第3章⇒第13章(ここの考え方は、年金数理における加入・脱退にも通ずるので、よく勉強しておくと年金数理でも役に立ちます。)

(第6章、第9章、第14章はお好きなタイミングで)

 

問題量が膨大かつ公式の証明問題もあり、迷ってしまいますよね。

いっちー様のブログに詳しく書かれておられました。

【1次試験】公式の証明はすべきなのか : いっちーのアクチュアリーノート

個人的には、大問3で出題される可能性が高いので、解いておくべきかと思います。

もしそんな時間がなかったとしても、最低限おおまかな解答の流れ(特に未出問題)は、把握した方がいいと思います。


 

【分野別対策法】

営業保険料・チルメル式責任準備金(第4,5章)

 計算量が多くなりがちなので注意。将来法・過去法とありますが、過去法はあんまり慣れていない受験生が多いだけに、過去法の対策もしっかり行っておきましょう。

 

計算基礎率の変更(第6章)

予定利率が小さくなった場合、死亡率が小さくなった場合、それぞれの結果を暗記しておきましょう(本番ではいちいち導出している時間がない)。ですが、いざという時に、自力で大小関係を導けるように練習も大事です。

 

解約その他諸変更(第9章)

 

f:id:indigobluetan0210:20210218163328j:plain

アクチュアリー会 平成18年度生保数理 大問5より出典

転換の良問は、H18大問5です。この1問で大体のことが分かると思います。

 

連生(第12章)

連生問題は、いくつかパターンがあります。

 

f:id:indigobluetan0210:20210218161040j:plain

アクチュアリー会 平成27年度生保数理 大問3(2)より出典

「生保会社が保険金を支払う必要が生じる条件・タイミング」に着目しながら解くのがポイントかなと思います。「保険金を支払う必要があるのは、妻が死亡する○年前後で夫が死亡する場合」など。数直線にしながら、支払われる条件を考えると分かりやすいかと思います。

大問3で出題される場合は、誘導がついているので、それに上手く乗る訓練を積んでみると、何となく見えてくるように思います。

「被保険者が死亡したタイミングだけ」に着目してしてしまうと間違えやすくなります。私もここは本当に苦労しましたね…。

教科書の章末問題で、問題の条件の違いを意識しながら解いてみると、感覚がつかめると思います。(ただし、難しいので注意)

 

f:id:indigobluetan0210:20210218162251j:plain

アクチュアリー会 平成23年度生保数理 大問1(13)

ゴムパーツの法則と積分とqが出てくるタイプの連生の場合は、「2人目の死亡に着目しながら変形」がセオリーとなります。

 

f:id:indigobluetan0210:20210218161248j:plain

アクチュアリー会 平成27年度生保数理大問2(5)より出典

 

4人の連生の場合(x,x,y,yやx,x,x,yなど)は、一旦、全員別の人間(x,y,z,w)としてとらえ直してから支払われる条件を考え、最後にそれぞれ、

x ⇒ x、y ⇒ x、z ⇒ y、w ⇒ y や x ⇒ x、y ⇒ x、z ⇒ x、w ⇒ y

と当てはめ直して考えると、間違えることなく確実に解けるので、おススメです!ベン図にすると、分かりやすいです。この類題は、年金数理でも出題されます

 

就業不能(第13章)

変な記号がたくさん登場し、うんざりなさるかもしれませんが、まずは暗記頑張りましょう…!

f:id:indigobluetan0210:20210218161459j:plain

アクチュアリー会 平成27年度生保数理 大問2(5)より出典

とにかく添え字の種類に気を付けながらいつからいつまで(終身か、ある年齢までなのか)保険金がどんな条件(就業不能になってからなのか、はたまた別なのか)で支払われるかを意識をしつつ、問題演習を重ねると得意分野にできると思います! 記号の暗記の精度を上げると、得意分野にしやすいと思います。

 

 

【私の過去問演習スコア表】

過去問は5月初旬から始めました。

トータルの点数(大問ごとの得点) 日付

という表記で、例えば「45(15,11,19)  8/18」ならば「8月18日に解き、45点で、大問1は15点、大問2は11点、大問3は19点」という意味です。

ピンクは60点、は90点を超えた時を示しています。

この点数を目標にするというよりは、「最低限この点数は取れていてほしい」という目安として使ってくださいね(;^_^A

f:id:indigobluetan0210:20210217135826j:plain


 

 

 

 

アクチュアリー就活について【数学の筆記試験】

例年であれば、アクインターンシップでの学生同士のコミュニティで、筆記試験に関する情報共有がなされるはずなのですが、今年はオンラインになった影響で、情報共有が上手くいっていないようなので、早速ですが記事にしてみました!

筆記試験の内容、対策方法、選考への影響度にわけてご説明させていただきます。

 

 【内容】

アクチュアリー試験の勉強をしていない学生も多く受験することもあり、公平性を期すためか、そういった学生でも解けるような問題仕様ですし(ご安心を)、問題レベルは、大学受験の知識でだいたい対応できるかな、という印象です。

 

 

の知識があれば別段問題ないと思います。

 

【対策本一覧】

『弱点克服 大学生の確率・統計』

お馴染み、藤田岳彦先生の『弱点克服 大学生の確率・統計』です!

確率の問題は、ちょうどこの本に記載されているような問題が出題されます。

 

弱点克服 大学生の確率・統計

弱点克服 大学生の確率・統計

  • 作者:藤田 岳彦
  • 発売日: 2010/04/09
  • メディア: 単行本
 

 

『穴埋め式確率・統計らくらくワークブック』

この本の問題内容がピッタリ筆記試験のイメージなので、個人的にはこの1冊が一番おススメです!

アクチュアリー一次試験「数学」で、確率の前提知識がない方にもスイスイ理解が進む1冊ですので、初学者の方はこの1冊がおススメだったりします。微分積分の問題も沢山載っているので、そちらも対策してもいいかもしれません。統計分野が手薄なように感じますが、筆記試験ではあまり出題されないので、大丈夫です。

 

 『穴埋め式微分積分らくらくワークブック』

微分積分に自信がない方は、こちらの一冊をおススメします。

自信がある方も、アクチュアリー一次試験の「数学」「損保数理」で応用できる(損保数理は隙あらば積分させてくるので)微分積分の計算の裏ワザが沢山載っており、ご一読の価値はあると思います! 私自身、損保数理でこの本の積分の裏ワザをフル活用し、試験場でも、計算の負担がかなり軽減されたので、是非!

 

 

『穴埋め式線形代数らくらくワークブック』

線形代数については、こちらをおススメします。

とても分かりやすく、この本をザーッと対策すれば、アク筆記試験の線形代数の問題にも十分に対応できると思います(問題レベルもちょうどこれくらい)。

 

 

【数列】

意外と出題されています。漸化式など、大学受験の時のような問題です。自信のない方は、大学受験の時の問題集に立ち返って対策されるとよろしいでしょう。

 

【選考への影響度】

気になるアク筆記試験の選考への影響度についてです。

どちらかというと、アクチュアリー一次試験を受験する上で数学力に致命的な問題がないか」というネガティブスクリーニングの意味合いが強く、それこそ下位5~10%に入らなければ、まず落とされないのではないかな、という印象です(会社の意向によってケースバイケースですのであしからず)

インターンシップの際、アクチュアリーのリクルーターの方にも質問したのですが、口調からして、(なるべく採用候補者の幅は広くしておきたいためか)会社側も筆記試験でバッサリ切るのは不本意なようでした。

もちろん、筆記試験で1位かそれに近い成績を取れば、優先的に選考に呼ばれるということもあるようですし、学歴や科目数に懸念がある方は、筆記試験で上位の成績を取って数理的素養をアピールなさると良いでしょう。

 

 

 

一次試験・受験科目数は何科目が最適なのか?

結論から申し上げますと、2科目です。受験するならば、数学×損保数理生保数理×年金数理の組み合わせをお勧めします。こちらの理由は、各科目の勉強法でご説明します。

 

私が受験してみた感触としても、3科目以上の受験は推奨いたしかねます。理由は以下の通りです。

 

 

【3科目以上の受験が非推奨な理由】

数を打てば当たる試験ではない

一度受験された方ならばお分かりでしょうが、1科目の合格率は、大変優秀なアクチュアリー受験生が受験してもなお、大体15~20%であり、ビッグウェーブの1科目合格するにしてもそれなりの労力を費やす必要があります。ある程度の対策を積まないと、恐らく不合格Ⅱすら届かないかと思います…。5科目受験して2~3科目合格というよりはむしろ全滅するケースが多い印象あるので、やはり欲張らずに手堅くいかれるのがよろしいでしょう。

 

試験直前期の負担が重い

数学KKTなどであれば、暗記量が多く、出題範囲も広い科目も併せて受験するケースが多く、年金・損保などであれば、新傾向の問題対策に余念がないかと存じます。暗記のメンテナンスに手間がかかることや、新傾向の問題対策にしても労力がかかるため、直前期の詰め込みは、キャパオーバーを起こし、結果としてどの科目も準備不足で特攻しがちになりやすいですよね。1科目増えるだけでも、かかる負担はぐっと増すものですし、科目数を絞って集中して勉強していれば合格できたであろう科目すら落としかねないリスクを鑑みると、やはり多科目受験は推奨しかねるのです。キャパシティは人に依りけりだとは思いますが、「確実に」合格できる水準を同時にキープできるのは(多くて)3科目が限度だと思います。(ただしこの場合、メンタルも詰みやすくなるので注意)

 

連日の受験により、体力気力の消耗が激しい

慣れない環境に、緊張感の中で、3時間頭をフル回転させるというのは、予想以上にストレスフルなものです。私は、1日1科目受験するだけでも帰りには口も聞けなくなるくらいには疲労困憊しました。ですのでより万全なコンディションで臨むためにも、1日1科目にとどめておくとよろしいでしょう。1日2科目受験ならば、激しい消耗が予想されるので、翌日はご自身のためにも、休まれた方がいいです(よしんば受験しても、万全とはいえないコンディションで臨むことになる可能性が高いです)。

 

先に受験した科目の手ごたえを引きずりやすい

人間はそう強くないので、どうしても先に受験した科目の手ごたえを引きずってしまうものです。いい手ごたえの流れを引き継げたならば良いのですが、アクチュアリー試験はそう易しくはなく、悪い手ごたえを引きずってしまうことも多々あり、後の科目のパフォーマンスに影響してしまう恐れがあります。特に、一生懸命に頑張ってこられた方ほど、絶望感も(悪い意味で)ひとしおでしょうから、さぞやお辛いかと存じます

2019損保を受験した後、モチベーション低下と心的ダメージが激しく、明日のKKTに行きたくなくなったのでとてもよく分かります。こういったリスクを回避するためにも、やはり多科目受験は推奨致しかねます。

 

最初からビッグウェーブ狙いだと、まず合格できない

ビッグウェーブの年だとしても、暗記の精度の高さと、典型問題を「百発百中」で解けるだけの水準が必要になってくると思います。そこで、最初から目指すべき水準を低めに設定してしまうと、やはり暗記漏れや「出来ると思ったのに出来ない」といった詰めの甘さが出てきてしまうものかもしれません。周囲のお話を聞いていても、難化しようと「絶対に受かる水準」を目指した方が合格することが多いように感じます(もちろん、こういった方は難易度関係なく合格なさっていますね)。

無勉強で合格なさる方は、実務経験がある方だけのような…笑(年金アクチュアリーは年金のビッグウェーブだと、無勉強でも合格なさる方もいるようです)

 

私の体験談で申し上げますと、2019年度で数学、損保数理、KKTの3科目を受験しましたが、「確実に」合格する水準を「3科目同時に」キープするのは非常に厳しいため、とてもとても辛かったです。(勉強中に悲しいわけでもないのに、勝手に涙が出てきたり、就活でお会いしたアクチュアリー正会員の面接官の方にも「3科目合格とは、さぞやお辛かったでしょう…」と開口一番に労りのお言葉を賜りました)

 

先の記事で、3科目以上同時に合格すると口々に褒めて頂けると書きましたが、それは裏を返せば、3科目以上同時に合格するのは、正会員になられるような優秀な方でも、そう簡単なことではないということなのだと思います。3科目以上同時合格を目指されるチャレンジングな方は、そういったことも心に留めておかれるといいかもしれませんね。

私は「たまたま」運が良かっただけで、今受けていたら…自信ないですね苦笑 

一か八かみたいなギャンブルは読者の皆さんにはあまり味わって頂きたくないです(^^;)

 

【受験プランについて】

なるべく、年金と損保が両方揃って残らないような受験プラン構築(ラスト2科目が年金・損保とならないよう)をおススメします。というのも、いずれも一次試験科目の中では双璧をなす難関科目なので、この2科目が残ってしまうと、心理的負担が大きくなってしまうためです…。

実務イメージの有無が合否に影響してくる科目でもある(特に年金)ので、損保アクチュアリーになる予定の方は年金を、年金アクチュアリーになる予定の方は損保を早めに受験されるとよろしいでしょう。

 

 3科目以上の受験は非推奨と言いながら、事情によりそうせざるを得ない方もいらっしゃると思うので、同時に科目勉強を両立させるコツも追って記事にしますね。