さえたん日記

アクチュアリーを目指す方々にお役立ちな情報を載せていきます!

インタビュー企画第3弾!【損保アクチュアリーってどんな人?】

ー超難関資格、高学歴。アクチュアリーとは、一体どんな人達なのか-

インタビュー企画第3弾! 今回は、損保アクチュアリーの方々にインタビューしました!! どうぞご高覧ください!

 

 

【損保アクチュアリーの魅力】

  • 産業や家計を取り巻くさまざまなリスクについて深く知り、考えることができます。人々の暮らしは決して同じではなく、住宅はその構造もたたずむ土地も異なり、自然の恵みにも脅威にもさらされ、車は街やハイウェイを駆け、旅をするならばそこではいろんなことが待っています。日々の生産活動を追いかけるなら、その過程において発生する事象とその結果は常に安定しているとは限りません。製造業だけでなく、運輸流通業、サービス業やIT産業、農林水産業、金融業など幅広い経済活動と、さらにそれらのサプライチェーンは高度に複雑に関連しあっています。さらに、人間の活動は、海外、宇宙、サイバー空間へと拡大していきます。損害保険はまさしく人間の社会活動に並走する形で発展し、そこに統計確率論やまだまだ発達途上のデータサイエンスの技術をもって挑む醍醐味を味わうことができます。

 

  • 自動車保険などの損害保険は1年契約の商品が多いため、他社への乗り換えが起きやすく、他社間との競争に常に晒されています。細かい箇所での損害率の動向を見極めて、どの層を他社より安くするのかor値上げするのかのバランスを考えながら、料率改定をとおして優良な契約者集団(損害率が良好だったり、安い保険料で収支相当してくれる集団のこと)を作り上げていくのが損保アクチュアリーの魅力の一つだと思います。

 

  • プログラミングによるデータ分析・統計学を実務で使う機会が多いことです。生のデータを自分の好きなように分析して、保険事故や社会的な傾向・背景等を目の当たりにする瞬間は(良い意味でも悪い意味でも)ゾクっとします。

 

【今、損保業界において、ご関心を持たれているトピック】

  • 気候変動やパンデミック、デジタルなインフラへの依存の高まりなど、社会経済の環境が大きく変化しつつあり、それに伴うリスクも変容を遂げています。新しいリスクの探求もさることながら、それに対応できるよう損害保険のしくみや保険会社の在り方も変化を求められています。不確実性が増大し、従来の保険では抱えきれないシステミックリスクにどのようにして対処していくことができるか、保険と保険会社の将来の方向性について、もっともっと考えていかなければなりません。

 

 テレマティクス保険に関心があります。

 そもそも、自動車保険でリスク細分に用いることができる項目は、保険業法施行規則第十二条で制限されていて、その中に「運転歴」があります。テレマティクス保険の考えとしては、通信車載器などのデバイスを、お客さんの車に載せてもらって走行データを収集し、損害率が良好になるような「運転歴」の特徴を見つけ出して、保険料の割引or割増をして優良な契約者集団を作りたい、というものですが、記名被保険者(主に車を運転する人)の走行データを、正確に測定するのは課題が山ほどあります。

 例えば、たまたま運転席に載せた友人が過激な急発進を、運転したときの「運転歴」はどのように扱えばよいのでしょうか? 上記のような望ましくないデータが得られてしまったとき、そのまま保険料の算出に使うのではなく、どこかしらで、取り除くようなロジックを、アクチュアリーも考える必要があります。業界スタンダードとなる手法がまだ確立されていないので、試行錯誤をする余地が大きくあります。

 

  • 火災保険

 ハザードマップを用いたリスク細分化に興味があります。都道府県単位ではなくて川沿いや海沿いなどの地形情報を用いて、保険料の割引or割増をしたいという考えです。 台風などの自然災害では大数の法則が効かないため、リスク細分化をした際の支払実績データ不足による信頼性確保が大きな課題となります。

 こちらも、業界スタンダードとなる手法がまだ確立されていないので、試行錯誤をする余地が大きくあります。真新しいからこそ、「この方法で金融庁の認可が取れるのか…?」という不安はつきものですが…。

 

  • P to P(米Lemonade等)
  • 企業分野の賠償責任保険分野の広がり

 

【どんな人が損保アクチュアリーに向いているか?】

  • 様々な事象の変化を敏感に捉え、柔軟に物事を考え、いろんな手法を試してみることを厭わない人。
  • データを扱う仕事ですが、データに惑わされず、常識・良識を持って判断できる人。

データの処理は根気と忍耐の必要な仕事でもあり、ときには時間との闘いとなり、見極めと思い切りが必要となることもあります。ただ、損害保険会社の経営の根幹に関わる仕事なので、責任感と同時に、会社だけでなく社会への貢献を考えることができる人がいいですね。

 

  • プログラマーの三大美徳である「怠惰」「短気」「傲慢」を兼ね備えた人。

リスク細分化によって、扱うデータ数が膨大に増えてきています。既存のソフトウェアで解決することもありますが、自らVBASQLなどをコーディングする場面も少なくありません。ビッグデータに対処するアクチュアリーとしての心構えは、プログラマーやエンジニアに似ていると思います。確かにコミュ二ケーション能力も大事かと思いますが、担当者レベルであれば 「怠惰」「短気」「傲慢」の方が仕事に役立ちます。

 

  • 損保アクに限らないが、ノンアクに分かりやすく伝える能力がある人
  • データ分析から結果の資料作成、そして説明までを一貫して行える人

 

  • Loss等の傾向が変化した時に「今、何が起きているのか」について自ら仮説を立てデータで立証できる人。なおかつその結果を他部署と共有し次のビジネスアクションにつなげることができる人。

保険事故の発生から保険金の額が確定するまでに長時間を要するため、できるだけ早く分析・把握し適切な手を打たないと気づいた時には手遅れになります。

 

  • アク以外の人と仲良くなれる人

特に支払等のオペレーションの変更がLoss Triangleの傾向、ひいてはLDFの見積もりに影響を与えることを考えると、アクが所属していない部署とも良い関係を築き、状況を常にキャッチアップすることは重要です。

 

 

【損保アクチュアリーには、実際どんな人が多いのか?】

  • ざっくばらんに正直で実直な人が私の周りには多いように思います。好奇心が強く、技術にこだわりが強い人も多いです。私にとっては、仕事をしたり、話をしたりするのに、信頼できて一緒に過ごすことが楽しいと思える人たちです。

 

  • 多種多様な方がいらっしゃいます。

 

  • いわゆる一人親方というのが多いです。尊敬できる上司の方々に共通する点として、「自分でロジックを組み上げることができる」というものがあります。就活生目線だと、グループワークで扱うような内容を、自分一人で全て考えきるようなものです。細かな専門性の要求と人手不足が相まって、チームプレーより個人プレーの業務が多いです。

 

 

【損保アクチュアリーを目指す人にひとこと】

  • アクチュアリーは数字を扱う仕事ですが、損害保険の数字の向こうには人々の生活や仕事があります。リスクを測定し、引き受け、事故があれば保険金を支払う、さらに最近はリスクを事前にコントロールし、いかにして削減していくかということの重要さが増しています。公共的な性格を持つ損害保険業を通じて自分がどのようなことを成し遂げていくのか、目線を高く持って仕事をしていただきたいと思います。また、カッコいいデータサイエンスの仕事だけでなく、損害保険事業を支えている泥臭いさまざまな業務に携わる機会があったなら、とても良いチャンスだと思って全力で励んでください。どのような経験もアクチュアリーの仕事に後から役に立つことでしょう。

 

  •  他分野よりデータ分析やプログラミングスキルが活かせる機会が多い(と思う)ので、こういったことに興味がある人は是非。ない人も是非(笑)

 

  • リスク細分化の流れによって損保アクチュアリーの仕事は、どんどん増えて来ています!!生保より規模が小さい分、採用人数が少ない傾向がありますが、マイナーな会社も是非応募してみてください!!

 

【謝意】この度、ご多用にも関わらず、ご協力賜りました皆様に、心より感謝申し上げます。