さえたん日記

アクチュアリーを目指す方々にお役立ちな情報を載せていきます!

インタビュー企画第1弾!【年金アクチュアリーってどんな人?】

ー超難関資格、高学歴。アクチュアリーとは、一体どんな人たちなのかー

今回は、国内で500人しかいないといわれる、アクチュアリー界でも希少な存在、年金アクチュアリーの方々にご協力賜り、インタビュー企画を実施しました!!!!

それではご高覧ください! 

 

 

【年金アクチュアリーの魅力】

  •  お客様との接点がある。

直接会ったり、電話でやりとりすることもあり、間接的にお客様の要望を伺う機会は多いです。

 

  • 資格に裏打ちされた専門性を活かして、各顧客のニーズに応えられること。

年金アクチュアリーの活躍場面として、もちろん広く社会一般のニーズという側面もありますが、どちらかというと具体的な各顧客のニーズに応えるという側面が強いように思います。顧客(企業の人事・財務など)と関係が築ける仕事です。企業年金は人事ごとと直結するので、お客様と会う時は、部長や役員クラスが出てくることもあります。

 

  • 自分の仕事がお客様の退職金に直結するので、やりがいを感じる/あらゆる企業の従業員の老後の生活設計に携われる

どんな制度にするべきか相談に乗ることも多いので、自分の意見が何百人何千人といる お客様の従業員の退職金制度や年金制度に直結することです。(ちなみに、年金アクチュアリーが出した提案が全くそのままお客様の退職金規程になることもあります。)

 

  • 年金数理人という公的な専門家として企業にアドバイスが出来る

 

  • 数学に強いことが活かせる仕事であること。

仕事上そこまで高度な数学を使うわけではありませんが、数学が得意な人というのは世の中一般から見れば貴重な存在であり、学生時代に数学が得意だった人は重宝されると思います。(これは年金に限らず生損保のアクチュアリーも同様だと思います。)なお、計算過程で難しい数学を使っていたとしても、顧客に説明する際にはぐっと我慢して、より簡単な内容での説明にとどめます。

 

 

 

  • 公的年金について、かなり詳しくなること。(世間の多くの人が誤解していることに気づく。)

 

  • 人事や労務の知識が身につく/人事制度や人事データに関わる仕事であること

さまざまな会社の就業規則や退職金規程を読みます。いろんな会社の従業員の退職金・企業年金を支え、人事制度変更に関する意思決定に関われる仕事です。また単純にいろんな会社の退職金制度を知れることは面白いですし、会社が違えば制度は異なりますので飽きが来ません。扱っているデータも給与や退職などの人事関係データであり、給与カーブ、退職率、退職金水準など、対象自体も興味深いものです。

 


企業年金業界において、ご関心を持たれているトピック】

  • 定年延長

 世の中が、65歳までとか70歳までになれば、それに合わせて企業年金も制度変更する必要があります。

 

  • DB仮想掛金(DC掛金の上限額の緩和)

 法令改正で今一番ホットな話題です。社会保障審議会企業年金個人年金部会において、カナダをはじめとする諸外国の私的年金を参考に、DCの拠出限度額に関する検討がされていて、企業年金関係者から高い関心が寄せられています。

 

 まだまだ普及していないが、どこまで普及するのか。

 

【どんな人が年金アクチュアリーに向いているか?】

  • お客様の視点に立てる人

 

  • お客様のニーズを的確に掴み、それに沿って自分なりの提案を作り、分かりやすく説明できる人

 

  • どう計算していくのが妥当か、自分の頭で考えられて、それを分かりやすく感覚的に説明できる人(数理的素養がある人)

 

  • 細かさと大雑把さのバランスが良い人(本質を見極めて不必要な部分はこだわり過ぎない人)

 

  • 毎年法律が変わるので、正会員になってからでも飽きずに勉強していける人

 

  • 顧客に必要とされることを自分の喜びややりがいと感じる人

社内で完結する計算ではなく、計算結果は各顧客に報告するものです。正会員になる前から、顧客と電話で話すこともありますし、メール等の授受もあります。(コロナ禍前は往訪することもありました。最近はZOOMになってしまって地方出張の機会がなく残念です。)
また、計算している内容は専門的で、顧客からはプロとして全幅の信頼をおかれるため、間違いが許されないという責任感とともにやりがいが感じられると思います。そういう仕事がしたい人には向いています。

  • 数字感覚に強い人

日本アクチュアリー会HPの「数理業務のプロフェッショナル」という表現からしばしば誤解がありますが、測度論などの高度な数学が得意な人よりは、具体的な数字の感覚を掴むのが上手い人が向いていると思います。扱っている数学はそこまで高度なものではなく、高校数学+αまでで足ります。給付設計の変更内容や、金利・死亡率・退職率・昇給カーブなどの変化が、計算結果にどう影響するか、定量的にイメージできるセンスが問われる仕事です。

日々扱うデータには企業年金や退職金に関するものが多く、そういった内容に興味があったほうが、日々の仕事を純粋に楽しめると思います。

 

【年金アクチュアリーには、実際どんな人が多いのか?】

  • これは色々過ぎて、こんな人が多いとは言えません。本当にバラエティに富んでいます。

 

  • 数学が得意な人が多く、論理を重視する人が多いと思います。とはいえ、得意分野は人それぞれです。法令に詳しい人、会計に強い人、プログラミングが得意な人など、様々です。また、顧客は数理計算の専門家ではないので、分かりやすい説明力が求められます。そもそも職場にはアクチュアリー有資格者でない方もたくさんいますし、そういった方たちとチームを組んで仕事をしますので、日頃からコミュニケーション能力は必須だと思います。

 

【年金アクチュアリーを目指す人にひとこと】

  • お客様のご要望に応え、喜んでもらうということは、純粋に嬉しいことです。また、法令改正等どんどん業界の状況も変わっていっているので、(大変ではありますが)飽きることなく、毎年何かしら違った仕事ができます2次試験は大変ですが、頑張ってください。

 

  • 年金アクチュアリーになれば自動的に年金数理人という資格が付いてきて、お得です!

 

  • 高度な数学は使わないものの、債務やリスクをどう評価すればよいか等、意外と決まっていないことも多く、数理的素養を活かせます。

 

  • お客さんのところに行く機会があり、様々な業種のことを知ることが出来ます。

 

  • お客さんのところには「年金の専門家」のような立場で行きますので、営業目標?みたいなのは全くありませんが、それだけに、多くの人の老後の生活に影響を与えるような判断をすることもあります。公的年金が目減りし自助努力による老後の所得保障が叫ばれる中、社会的にも意義深い仕事が出来ると思います。

 

  • 年金アクチュアリーは、ニッチな世界ですがとても面白い分野だと思います。アクチュアリーというと生損保しか知らなかったという方も、これを機に年金の世界の門戸を叩いてみては?

 

 

企業年金業界の今後の展望について、このような見識高い貴重なご意見を賜りましたので、ご紹介致します!!

 

企業年金は企業の人事制度の一つです。少子高齢化を背景に、企業にとっては労働力確保、従業員にとっては高齢期の収入確保の観点から、国の政策として定年延長が進んでいます。このような企業の人事政策の変更時には年金アクチュアリーの活躍の場があります。複数の給付設計で財務インパクトを比較して提案することなども、年金アクチュアリーに求められる役割です。
また、大企業を中心に、IFRSの導入が進んでいます。IAS19(退職給付を含む企業から従業員への給付に関する国際会計基準のこと)に関する相談も増え、アクチュアリーに求められる役割はますます大きくなっています。
このように、人々の就労期間が延び、企業がグローバル化するなかで、年金アクチュアリーにはこれまでよりも様々なことが求められるようになり、活躍の幅が広がっています。

 

 

【謝意】ご多用にも関わらず、取材にご協力賜った皆様に、心より感謝申し上げます。