さえたん日記

アクチュアリーを目指す方々にお役立ちな情報を載せていきます!

年金アクチュアリーに必要なスキル①

ご無沙汰しております。

よく学生の方から「どんな方が活躍されていらっしゃるんですか?」というご質問を頂きますので、社会人となり、多くの年金アクチュアリーの先輩方を拝見していて感じたことをまとめてみようと思います。

 

重要だと思う順番から列挙してみます。

 

  • 数理的素養
  • 関連法令の知識
  • 説明力
  • 多角的な分析力
  • 応用力
  • 勉強を継続する力
  • コミュニケーション能力

 

<その他あると便利な能力>

ツールスキル、退職給付会計の知識、英語力、人事労務に関する知識、営業力、行動力etc

 

財政決算、財政計算、PBO計算等の数理計算を行う数理部署と、制度提案を行うコンサルティング部署とで、業務内容や求められるスキル、レベル、所属メンバーの気質が異なるので、また別記事にて紹介いたします。

 

コミュニケーション能力が意外と低い順番であることに驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、それ以外の6つのスキルがそれほどに重要と考えております。

 

  • 数理的素養

年金営業さんと年金アクチュアリーの主たる違いというのは、数理的素養と関連法令の知識の有無だと考えております。

(ちなみに最近は理系出身の年金営業さんも増えてきています)

 

たとえば。

計算ツールで算出された結果に対して、

「勤務費用は何故この水準になったのか?」

「脱退差がこの水準になった理由は何なのか?」

「予定利率引上げに係る財政計算において、この数理債務の額、掛金の額は妥当な水準か?」

「このDC設計によって既存のDBに与える影響はどのようなものが考えられるか?」

といった観点で数字の検証、何故この数値になったのかその裏付けを考える能力が大事になってきます。(予定利率1%引き上げたら、数理債務の額や標準掛金額はこの程度変動するだろう…定年延長を行ったら給付減額回避のために年金額はこれくらい引き上げるだろう…といった定量的に把握する力ですね)

その会社独自の給付設計や業種、加入者・受給者の給付水準、退職給付見込額の期間帰属方法、これまでの財政計算の履歴等、様々な観点から専門家としての合理的な判断に基づいて、その計算結果の妥当性を判断します。

間違った計算、数字に対して「これはおかしい」と気付ける感応度の高さが、計算ミスを防ぐうえで最も重要になってくるので、数字に強いことはとても重要なスキルです。

 

 また、PBO計算(退職給付債務計算)では、お客様から加入者・受給者データをご作成頂いて、そのデータ検証を行ったりするため、特にデータ処理に強い方は楽しめるのではないかと存じます。(個人的にこのPBO計算は一番面白いと感じております^^)

 

  • 関連法令の知識

 部署の先輩方を拝見していて感じるのは、年金アクチュアリーが「専門家としての合理的な判断」を行うための土台は、関連法令の知識だということです。

お客様や営業さんからの照会対応にあたり、年金二次で問われる知識はもちろんのこと、人事・労務、税制の知識、その他諸々の知識が必要になってきます。

法令やDB規約、DC規約、退職金規程を読み解く読解力をベースに、お客様・営業さん・社内の関連部署、地方厚生局等の全てのステークホルダーがご納得いただけるようなロジックを組み立てていく力、といったところでしょうか。

公的機関との折衝業務はかなり難度が高いので、こういった仕事を任されるのは年金アクチュアリーの中でもかなり頭の切れる方がご担当されるイメージです。

 

 

  • 説明力

 これは、得手不得手がはっきりしやすい能力のようで、頭が良すぎて却って標準レベルの相手に説明レベルをチューニングするのが難しい…といった方もいれば、頭が抜群に良く、その体系化された膨大な知識をどんな相手に対しても教えるのが抜群に得意な方もいらっしゃいます。

こちらも別途記事でご説明いたします。

 

  • 多角的な分析力

  • 応用力

こちらに関しては別途記事でご説明致します。

数理部署でも、コンサルティング部署でも必要になってくる重要なスキルだと考えています。

 

  • 勉強を継続する力

正会員になるまで、そして正会員になった後も必要になってくるスキルですね…。

正会員になった後も、毎年法令改正があるのでキャッチアップのための勉強は必須となってきます。(直近の法令改正の内容は、頻繁にお客様や営業さんから説明を求められるため)

年金分野に限らず、証券アナリストや社労士、中小企業診断士、英語等を勉強されている方もいらっしゃいます。

 

  • コミュニケーション能力

 意外に思われるかもしれませんが、大半の年金アクチュアリーの所属する数理部署は社内ではバックオフィスという扱いです。決算報告シーズンでない時期は、数理部署の方々は内勤が多い印象です。

コンサルティング部署でもミドルオフィスという扱いで、お客様との打ち合わせは週2~3日程度です。

 

 ですがやはり、お客様や営業さんと良好なリレーションを構築できるような年金アクチュアリーが活躍しやすいのはいわずもがな、営業さんから内々に裏情報の提供があったり、営業さんのパイプを生かしてお客様を紹介いただいたりと何かと融通して頂きやすいですし、お客様からお気に召していただけると口コミで指名が入るといったこともあるようです。

特にコンサルティング部署では、営業経験のある正会員の方もご活躍されています。

 

 以上がビジネス面でのコミュニケーション力の話で、次はパーソナリティ面でのコミュニケーション力についてご説明します。

周囲の年金アクチュアリーの方々の外見や雰囲気、コミュニケーションはリテール等の他の総合職の方々とほぼ同じ印象で、紛れていても恐らく見分けがつかないかもしれません。

 あえて対客業務のある仕事を選択なさるからなのか、お話好きな方も一定割合(1~2割程度?)いらっしゃる印象です。よくふらふらデスクを周回して雑談している方(お仕事が凄く出来る方です)や、トーク力がすこぶる高い方を観察していると、元来コミュニケーション力も高いのかもしれませんが、性格的にコミュニケーション自体がとてもお好きなのかもしれません。

 あと勉学1本!という方はほぼいらっしゃらず、趣味関心の幅が広く、どちらかというと文武両道タイプが多い印象です。(私の周囲だとスポーツ経験者が多いです)