さえたん日記

アクチュアリーを目指す方々にお役立ちな情報を載せていきます!

インタビュー企画第2弾!【生保アクチュアリーってどんな人?】

ー超難関資格、高学歴。アクチュアリーとは、一体どんな人たちなのかー

インタビュー企画第2弾!! 

今回は、生保アクチュアリーの方々にご協力賜り、その魅力についてお伺いしました!! それではどうぞご高覧ください! 

 

 

【生保アクチュアリーの魅力】

  • スキルを生かした仕事ができる

アクチュアリー全体に共通していることかと思います。

 

  • 人数が多い

 

  • 専門家として興味深い(理論的な)研究に触れる機会が多い

どちらかというと損保アクチュアリーのイメージが強いかもしれませんが、生保でも様々な研究が行われていますし、またデータサイエンスの活用や、ファイナンスといった周辺領域の重要性はますます高まっており、学術的な、理論的な面白さを求める人にとっても魅力ある職業だと思います。

 

  • 保険リスクだけではなく、金融系のリスクを扱うモチベーションが高い

 

  • 様々な視点を持つ人と一緒に仕事ができる

同じアクチュアリーでも商品開発・予算/決算・負債評価・リスク管理・運用など、様々な立場の人間と同時に関わり、アクチュアリー以外では営業部門や経営、時には社外のステークホルダーとも関わりがあって、それぞれの専門的知見を吸収しながら、興味深いディスカッションができる機会が多いと思います。

 

 

【今、ご関心を持たれているトピック】

  • 経済価値ベースの資本規制/今後導入予定の健全性指標

経済価値ベースのソルベンシーマージン比率の規制動向(ICSや経済価値ベースの国内資本規制を巡る議論)は、今後5年くらいのあいだ、生保業界において最重要トピックの一つであり続けると思います。

 

  • Insurtech

 

 

  • 健康支援系保険の動向

 

  • ERMの高度化

 

  • RPA

 

  • コロナ禍におけるセールス戦略

 

  • データサイエンスの活用

規制の話に比べると各社の導入や活用の足並みはバラバラですが、今後保険契約の価値を高めていくために重要な要素になっていくでしょう。

 

【生保アクチュアリーに向いている人】

  • 生保ビジネスに興味がある人

 

  • 損保や年金に行きたいという明確な意思がない人(現状はいろんな意味で生保に行く方が、機会という意味で得する可能性が高い気がする)

 

  • 金融系のリスク(市場リスクや信用リスク等)に興味がある人

 

  • 好奇心が強く、考え方の違う人・異なるバックグラウンドを持つ人とのコミュニケーションが苦にならない人。また、理論と現実の折り合いをうまくつけられる人

 

 

【生保アクチュアリーには、実際どんな人が多いか?】

  • 多種多様なので、一概には言えません。

 

  • その他(損保、年金)と特に違いはありません。

 

  • 向学心と専門家以外への説明能力を併せ持っていて、バランスの取れた人が多いです。また、営業・金融・データサイエンスなど、従来型のアクチュアリー以外の分野に興味をもつ人もかなり多い印象です。(勿論、損保や年金でも新しい領域へ挑戦される方は非常に多いのですが、生命保険数理そのものはリスクセオリーの中ではどちらかというと枯れた技術で、向学心が生命保険数理の深堀りよりも他の分野に向かいやすいのかなと思っています。)

 

【生保アクチュアリーを目指す方へひとこと】

  • 生保アクチュアリーが関わる領域は拡大し、求められる役割は多様化しています。色々な方に生保アクチュアリーになっていただき、ともに学び、仕事をすることを楽しみにしています。

 

  • 生保のアクチュアリー業務は、一次試験の生保数理だけではなく、損保数理で扱っている内容も普通に用います!恐らく思っている以上に活躍できる領域が広いので、特に特定の分野(生保、損保、年金という意味で)に明確な興味がない人には特におすすめです!

 

  •  生命保険は長期のビジネスです。現実では短期的な成果も求められる一方、長期的・安定的に契約を履行できるようにしなければなりません。この10年でも大地震、豪雨、コロナと様々なイベントがありましたが、困ったときにこそ確実に保険金を支払えることに生命保険の存在意義があります。試験合格も大事ですが、目先のテクニックにすぎません。生命保険が未来永劫続くよう、みらいのカタチを描けてその数理的素養で実行できるようになってください。

 

 

このような貴重なご見識も賜りましたのでご紹介します!

 

個人的には、アクチュアリーの専門分野として、生保/損保/年金という区別は必ずしも本質的ではなく、今後は上記にERM・データサイエンス・金融などの領域を加えて、いくつかの分野にまたがった形で専門分野を持つ人が増えていくのではないかと考えています。

一方で、学生が就職先を選ぶ時には専門分野というよりもファーストキャリアの業種として生保/損保/年金(信託銀行)の区別が重要ですし、その文脈においては、収益構造と重要なリスクの種類から求められるスキルに微妙に相違があると理解しています。

例えば損保は1年以下の契約における危険発生率リスク(特にテールリスク)が、生保は長期の契約により発生するキャッシュフローに関わるリスクがそれぞれ重要で、年金は対象期間やリスク特性でみると生保と似ていますが、企業年金の場合はそもそも主役になる経済主体が異なり、収益構造も保険と異なるでしょうし、また発生するキャッシュインフローの柔軟性、資本規制の影響の大きさ、キャッシュアウトフローへの影響が大きい基礎率などに多少の相違があるかと思います)。

その結果として、専門外の人とのコミュニケーション能力と数理的素養のどちらが若いときから重視される能力かを見ると、損保は数理寄り、年金はコミュニケーション寄り、生保はその中間というイメージを持っています。もっとも、会社や部署によっても異なりますし、どの分野でもどちらも重要であることは言うまでもありません。

 

【謝意】ご多用にも関わらず、今回の取材にご協力賜りました皆様に、心より感謝申し上げます。