【特徴】
- 指定教科書が読みやすい。導入書は教科書で十分ですね。
- 2019、2020と易化したので、今年度(2021)は、難化がほぼ確定的(頑張って…!)。
- クローズドベースな分野なので、新傾向の問題は出題されにくい。(だからこそ教科書が長年改訂されていないのかも)
- 生保独特の記号が登場し、暗記量が多い(ここを暗記しないとまず問題が解けないので頑張りましょう…!)
- 保険数理3科目の中では、一番難易度のばらつきが小さいが、優秀でもドツボにはまる方もいるので注意。
- 記号の展開や、式の変形、パズル的問題が多く、四則演算、級数計算が大半で、微分積分は少なめなので、文系の方でも比較的取り組みやすい。
- 生保数理の分野が、そのまま年金数理でも出題される(20点分)上に、年金数理は生保数理の予備知識がないと理解しにくいので、年金数理との相性が良い。
【合格率の推移】
年度 | 2019 | 2018 | H29 | H28 | H27 | H26 | H25 | H24 | H23 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
合格率% | 32.0 | 12.8 | 26.2 | 10.6 | 14.0 | 10.2 | 26.5 | 49.2 | 12.6 |
年度 | H22 | H21 | H20 | H19 | H18 | H17 | H16 | H15 | H14 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
合格率% | 35.3 | 21.5 | 21.9 | 38.7 | 11.0 | 10.2 | 7.0 | 22.5 | 9.7 |
【得点戦略】
大問1 24点(各4問×6)
典型問題が出題される。大問2のことを考えると、全問正解が望ましい。
大問2 56点(各7点×8)
計算量も多く、難度も高いのに、1問落とすと7点も飛ぶ地雷原。難化年は、ここの地雷率が高い為。問題の解くべき順序をしっかり見極めないと(選球眼)、ドツボにはまりやすいので注意。半分稼げればOK
大問3 20点(各10点×2)
ここで食らいつくと案外点数が取れる。誘導に上手く乗る訓練が必要。大体、連生か就業不能がよく出題される。10点稼げればOK 教科書の章末問題の未出部分から出題されることがある。(教科書をやっていれば得点のチャンスが狙える)
【難化する年の特徴】
- 計算量が多い(営業保険料・チルメル式責準は特に注意)
- 問題条件を複雑にする。
チルメル式責任準備金(計算量が多いので注意)
連生(設定条件が複雑になりやすい。生保数理の最難分野)
就業不能(暗記すべき公式が多く、就業者・就業不能者など被保険者の分類の判断が難しいため、混乱しやすい)
は要対策。問題を難しくするとしたら、大体ここの3つに絡めて狙われる。特に、連生は難しいので、苦手意識を持つ人が多い分野でもある。(私も本当に苦労しました…)
【私が行った対策】
『生保ストラテジー』
指定教科書
過去問対策(H8~2019)
生保公式集(アクチュアリー受験研究会)
2020年で合格しました。対策は、指定教科書、過去問対策と生保公式集を主軸としていました。生保WBは量が多いのでやっていません。生保ストラテジーは、便利な公式を拾い読みするために適宜使っていました。
指定教科書
生保数理の教科書は、章ごとのつながりで読むことが重要になってくるので、教科書の読み方が独特です。教科書は、どの章も、微に入り細を穿つ説明で大変分かりやすいのでおススメです。
章ごとのつながりは以下の通りです。
第1章
第2章
第4章⇒第5章⇒第7章⇒第8章
第12章(連生だけでけっこう長い)
第3章⇒第13章(ここの考え方は、年金数理における加入・脱退にも通ずるので、よく勉強しておくと年金数理でも役に立ちます。)
(第6章、第9章、第14章はお好きなタイミングで)
問題量が膨大かつ公式の証明問題もあり、迷ってしまいますよね。
いっちー様のブログに詳しく書かれておられました。
【1次試験】公式の証明はすべきなのか : いっちーのアクチュアリーノート
個人的には、大問3で出題される可能性が高いので、解いておくべきかと思います。
もしそんな時間がなかったとしても、最低限おおまかな解答の流れ(特に未出問題)は、把握した方がいいと思います。
【分野別対策法】
営業保険料・チルメル式責任準備金(第4,5章)
計算量が多くなりがちなので注意。将来法・過去法とありますが、過去法はあんまり慣れていない受験生が多いだけに、過去法の対策もしっかり行っておきましょう。
計算基礎率の変更(第6章)
予定利率が小さくなった場合、死亡率が小さくなった場合、それぞれの結果を暗記しておきましょう(本番ではいちいち導出している時間がない)。ですが、いざという時に、自力で大小関係を導けるように練習も大事です。
解約その他諸変更(第9章)
転換の良問は、H18大問5です。この1問で大体のことが分かると思います。
連生(第12章)
連生問題は、いくつかパターンがあります。
「生保会社が保険金を支払う必要が生じる条件・タイミング」に着目しながら解くのがポイントかなと思います。「保険金を支払う必要があるのは、妻が死亡する○年前後で夫が死亡する場合」など。数直線にしながら、支払われる条件を考えると分かりやすいかと思います。
大問3で出題される場合は、誘導がついているので、それに上手く乗る訓練を積んでみると、何となく見えてくるように思います。
「被保険者が死亡したタイミングだけ」に着目してしてしまうと間違えやすくなります。私もここは本当に苦労しましたね…。
教科書の章末問題で、問題の条件の違いを意識しながら解いてみると、感覚がつかめると思います。(ただし、難しいので注意)
ゴムパーツの法則と積分とqが出てくるタイプの連生の場合は、「2人目の死亡に着目しながら変形」がセオリーとなります。
4人の連生の場合(x,x,y,yやx,x,x,yなど)は、一旦、全員別の人間(x,y,z,w)としてとらえ直してから支払われる条件を考え、最後にそれぞれ、
x ⇒ x、y ⇒ x、z ⇒ y、w ⇒ y や x ⇒ x、y ⇒ x、z ⇒ x、w ⇒ y
と当てはめ直して考えると、間違えることなく確実に解けるので、おススメです!ベン図にすると、分かりやすいです。この類題は、年金数理でも出題されます。
就業不能(第13章)
変な記号がたくさん登場し、うんざりなさるかもしれませんが、まずは暗記頑張りましょう…!
とにかく添え字の種類に気を付けながら、いつからいつまで(終身か、ある年齢までなのか)保険金がどんな条件(就業不能になってからなのか、はたまた別なのか)で支払われるかを意識をしつつ、問題演習を重ねると得意分野にできると思います! 記号の暗記の精度を上げると、得意分野にしやすいと思います。
【私の過去問演習スコア表】
過去問は5月初旬から始めました。
トータルの点数(大問ごとの得点) 日付
という表記で、例えば「45(15,11,19) 8/18」ならば「8月18日に解き、45点で、大問1は15点、大問2は11点、大問3は19点」という意味です。
ピンクは60点、青は90点を超えた時を示しています。
この点数を目標にするというよりは、「最低限この点数は取れていてほしい」という目安として使ってくださいね(;^_^A