さえたん日記

アクチュアリーを目指す方々にお役立ちな情報を載せていきます!

アクチュアリー一次試験【損保数理の勉強法】

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【特徴】

  • 隙あらば積分させてくる(計算を軽量化するテクニック必須)。
  • 一次試験の中では、年金数理の次に難しい。年ごとの難易度のブレも比較的大きい
  • 以上の理由から、年金数理同様、残しやすい科目。優秀な方でも、ドツボにはまると3年かかったり、10年かかった人もいる。
  • 一次試験の中で計算量が一番多く、数理色が一番強い
  • リスク確率、コピュラなど、研究がリアルタイムで進んでいる分野だけに、新傾向の問題が出題されやすい
  • 暗記で秒殺できる問題も多々ある。(例:ベイズ最尤値、コピュラなど)アクチュアリー受験研究会から出ている、公式証明チェックリスト・暗記チェックリストを完璧に暗記すると、計算量が大幅に省けたりする。
  •  数学の「モデリング」分野が出題範囲に加わり、なおかつ統計分野の知識がないと解けない問題が出題される傾向にあるので、数学と一緒に勉強すると◎

 

【合格率の推移】 

年度 2019 2018 H29 H28 H27 H26 H25 H24 H23
合格率% 16.2 23.5 13.7 13.2 20.5 22.6 30.1 39.9 10.5
年度 H22 H21 H20 H19 H18 H17 H16 H15 H14
合格率% 12.8 10.5 36.6 13.1 11.9 9.9 22.7 18.1 15.2

 

【得点戦略】

大問1(20点 各問4点×5)典型問題が多いので全問正解が望ましい

大問2(28点 各問7点×4)過去問の焼き直しが多いので、なるべくここでも稼ぐ

大問3(32点 各問8点×4)新傾向かつ難問・計算量が多い地雷原(それなのに配点が高い)。しかし、半分くらいは取っておきたい…!

大問4(20点 各問10点×2)新傾向かつ難化しやすい。運よく教科書の数式論証部分が出題されることがある。10点稼げればOK

 

第8章 リスク確率

第10章 コピュラ・極値理論

 

は要対策。問題を難しくするとしたら、大体ここの2つに絡めて狙われる。難度が高いので、苦手意識を持つ人が多い分野でもある。難系損保WB(関西アクチュアリー受験研究会)で勉強するのがオススメ。

 

 【私が行った対策】

  • 『例題から学ぶ損保数理』
  • 『リスク・セオリーの基礎』
  • 『穴埋め式微分積分らくらくワークブック』
  • 指定教科書
  • 過去問対策(H12~2018)3周(出来が悪い年度は4周以上)
  • 公式証明チェックリスト・暗記チェックリスト(アクチュアリー受験研究会)
  • 難系損保WB

2019年度で合格しました。主に、指定教科書と過去問対策、公式証明チェックリスト・暗記チェックリストが主軸で、その他は理解を深めるために適宜使っていた、という感じです。数学と同様、損保数理を合格しておくと、就活で数理的素養をアピールできるので、おススメです。

『 例題から学ぶ損害保険』⇒指定教科書&章末問題(3周)⇒過去問演習 という流れでした。

 

〈『例題から学ぶ損害保険数理』〉

 私は、損保ストラテジーを持っておらず、こちらで対策しました。問題例が豊富で、解説も分かりやすいので、導入書としてお勧めです。こちらと教科書の章末問題を終えたら、すぐに過去問演習に取り組みましょう!

例題で学ぶ損害保険数理 第2版

例題で学ぶ損害保険数理 第2版

 

 

 〈『リスク・セオリーの基礎』〉

有名ですが、岩沢宏和先生の『リスク・セオリーの基礎』です。初学者には厳しいですが、ある程度過去問演習を進めた後に読むと、理解が深まるように思います。問題も多く掲載されているので、過去問演習を終えて、さらに演習したい方にもおススメです。

 

〈計算力向上にこの1冊!〉

『穴埋め式微分積分らくらくワークブック』

 よもやの入門書ですが笑 本書には、微分積分の計算を大幅に軽量化できる裏ワザテクニックが沢山記載されている良書です!

こと損保数理では、重めの積分計算が求められる問題が多く、「試験時間内に」こういった問題を正確に解くためには、計算の軽量化は必須です。計算力にお悩みの方には、是非お勧めしたい本です!

 

〈指定教科書〉

 とても重要です。教科書の記述部分から、毎年知識の○×問題が7点分も出題され(ここを捨てるのはもってのほかです)、なおかつ、章末問題がそのまま出題されたり、文中の数式の論証部分がそのまま大問で出題されるので、得点効率は非常に高い

教科書由来の問題は、確実に全て解く!ぐらいの気持ちで取り組むと、得点も安定してくる傾向があるように思うので、読みにくいですが、頑張って9月ごろまでには完成を目指しましょう。

 

損保数理の導入書は、いっちー様が以下のページでご紹介なさっています!

actuary0310-2.blog.jp

〈過去問対策〉

 教科書が1周目終わったあたり(6月)で始めました。もちろん最初は14点とかでしたが、分からなくても3時間じっくり考える訓練を行っていました。これが初見の問題に対する思考力を養う上でとても重要だったように思います。そこからじっくり解答とにらめっこしながら、どこが足りなかったのかの分析を行い、同じミスを繰り返さないぞ!!という心づもりで。試験直前には、2時間で満点をコンスタントに取る水準に持って行きましょう(それくらいじゃないと、試験という土壇場で合格点すら取れるか怪しくなります(;^_^A)。

 

 【分野別克服法】

積立保険(第6章)

生保数理のチルメル式責任準備金に関する知識がないと、中々苦戦するので、まず生保数理の教科書で勉強してから取り組むとスムーズです。

あとは、WBに載っている公式を暗記し、過去問でタイプ別に分類しながら演習を積むと◎ 暗記が重要になってくる分野です。

 

保険料算出原理(第7章)

ひたすら暗記しましょう。特に、件の表は絶対に暗記です。(損保WBに覚え方が載っていたので、参考になると思います)

ワンの保険料算出原理についてですが、一度、教科書の論証を、ご自分で図に書きながら証明なさると理解が進みやすいのかな、と思います。毎年出題される頻出範囲でもあるので、過去問でひたすら演習を積んで、確実に解けるようにしておくと、安心ですね。

 

リスク確率(第8章)

 教科書の論証が丸々大問で出題されることがあるので、教科書を万全に対策しましょう。難系損保WBでの対策がおススメです。微分方程式をたくさん用いるので、苦手な方は予め勉強しておくとスムーズに理解が進むかと。こちらも暗記チェックリストに計算が省略できるテクニックが載っていたので、必見です!

 

再保険(第9章)

計算量が多くなる傾向があるので、本番では後回しにした方がいいです。こちらも実は計算量が減らせるテクニックが、公式証明チェックリスト(アクチュアリー受験研究会)で載っていたので、是非使いこなせるように練習してください。

 

コピュラ・極値理論(第10章)

グンベル分布・ワイブル分布などは、損保暗記チェックリスト・公式証明チェックリスト(アクチュアリー受験研究会)で全て暗記しちゃいましょう(ここでも暗記で計算を省ける)。こちらも難系損保WB(関西アクチュアリー受験研究会)での対策がおススメです。

 コピュラが苦手な方は、『アクチュアリー数学シリーズ 損害保険数理』で、50ページにわたって説明されているので、是非ご一読を!

 

損害保険数理 (アクチュアリー数学シリーズ)
 

 

 

【注意点】再掲

〈電卓の使い方〉

計算処理能力が問われるので、如何に電卓を使いこなせるかが試験で重要になってきます。メモしながら解いていると時間が足りなくなるので、普段から練習しておくことが肝要です。

 

  • 電卓2台同時に使いこなせるか?(メモの手間が省ける)
  • モリー機能は使いこなせるか?
  • GT機能は使いこなせるか?

 

〈導入書に時間をかけすぎないこと〉

導入書の種類が多く、導入書すべてを「完璧に」こなすことにこだわると、あっという間に10月とかになってしまいます。損保数理も過去問の焼き直しが多く、特に大問23,4は問題の誘導に対する慣れが重要になってくるので、導入書よりも、過去問を早期に完成させることを優先させてください。5月~6月には過去問演習に入れていると、後がスムーズです。

 

〈計算量が多いので、問題の選球眼を過去問演習で養うこと〉

解ける問題(過去問の類題など)とそうでない問題(難問、計算量が多い問題など)を見分け、解ける問題を確実に取りこぼしなく得点する練習を過去問演習で養うことが肝要です解けない問題にハマるとあっという間に時間を溶かしてしまいますので、早めに見切りをつけることも、合格には必要なことです。そういった感覚は過去問演習で身につけられるので、問題を解く順序、見切りをつけることを意識しながら過去問に臨んでみてください。

 

〈暗記も大事だが、理解も大事〉

つまり、暗記も理解も両方使うことが大事ということです。暗記の精度が大事なのは言うまでもないですが、難しい年度になると、過去問の類題が少なく、計算量が多い新傾向の問題もある程度得点しないと合格点に達しないことも考えられます。そこで暗記偏重で、初見の問題をじっくり考える訓練が足りていないと、そういった問題を捨てざるを得なくなってしまいます。ですので、なるべく初見の問題は時間をかけて(10分でもいいので)、すぐに解答をみずに考える癖をつけてみてください。以下の点を中心に考えてみてもよいでしょう。

 

  • どの公式を論拠にしているのか?なぜその公式が論拠に出来るのか?
  • 出題者の意図は?
  • 別解はどのようなものがあるだろうか?
  • 解答に至るまでのストーリーはどのようなものか。なぜそうなるのか。
  • もう一度、自力で一から正解を導けるのか?(意外と解けないことが多い)
  • 類題はどのような問題がある?それはこの問題とどのような違いがあるのか?

 

〈計算を省略しない〉

「プロセスがあってたから、めんどくさい計算は端折ろう」とついつい考えてしまいますが、試験本番ではあっているかどうか分からない計算をし続けて正解まで導かなければいけません。なればこそ、普段から重めの計算をこなせる体力をつけておくことが重要になってきます。ですので、計算を間違ったら、その都度、自力で正解まで導出しなおすことを怠らないようにしましょうここをしっかり行えるかどうかで試験場では雲泥の差になってくると思います。

 

【私の過去問演習スコア表】

過去問は5月中旬から始めました。

トータルの点数(大問ごとの得点) 日付

という表記で、例えば「45(15,11,19)  8/18」ならば「8月18日に解き、45点で、大問1は15点、大問2は11点、大問3は19点」という意味です。

ピンクは60点、は90点を超えた時を示しています。

この点数を目標にするというよりは、「最低限この点数は取れていてほしい」という目安として使ってくださいね(;^_^A

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 ※古い年度の過去問は、過去問演習ではなく、未出問題を拾いながら解いていたので、記録していません。また、日付を記録していない年度のものは、点数のみの記載となっています。